会長挨拶

第54回日本脊椎脊髄病学会学術集会
会長 髙相 晶士
北里大学医学部整形外科学 主任教授
第54回日本脊椎脊髄病学会学術集会を、2025年4月17日(木)~ 19日(土)、「不撓不屈」をテーマに千葉市幕張にて開催させていただきます。歴史ある本学術集会を、北里大学医学部整形外科学教室が担当させていただくことを大変光栄に存じます。このような素晴らしい機会をいただき、学会関連の先生方、会員の皆様及びご関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
今般の医療技術の進歩は著しく、顕微鏡による低侵襲手術やロボットを用いた手術支援等新しい手術技術開発、また研究分野ではリアルワールドデータやビッグデータを活用したデータ駆動型研究やAI研究等、新たな発見とスピード感のある研究開発が展開されています。
一方で、2024年度から施行された医師の働き方改革制度に伴う医師の時間外労働の上限規制や、医療分野のDX化等、病院を取り巻く環境が大きく変化しています。このような激変する我が国の医療環境を踏まえ、本学術集会では、脊椎脊髄外科領域の現状を改めて整理し、将来必要とされる対策や方向性に関する議論を交わし、医療と研究の更なる深化を目指したいと考えます。そして、超高齢化社会を迎える我が国の「健康寿命の延伸」を実現するべく、不撓不屈の精神で、脊椎脊髄疾患に係る臨床・研究・教育にさらに邁進したいと考えます。
第54回学術集会では、昨今の社会情勢を考慮し、これから脊椎脊髄外科が進むべき羅針となるべく病態や治療の本質に迫るシンポジウムやディベートをご用意いたしました。加えて、教育研修講演では、医療安全、働き方改革、医療倫理など、時代に合わせたテーマも取り上げました。シンポジウムはビデオシンポジウムを含めて7セッション、ディベート3セッション、JSSR関連Awardセッション、また、本学会が継続して力を入れている、学会主導セッション、English Presentation Award、APSS-Eurospineとの合同シンポジウムも踏襲しております。主題と一般演題には1,444演題の応募をいただき、1,059演題を採択させていただきました(採択率73.3%)。内訳は口演598演題(主題138演題、EPA63演題、一般口演397演題)、ポスター461演題(English33演題、一般428演題)でした。文化講演には、本学の所在地である神奈川県相模原市に縁の深い読売巨人軍前監督の原辰徳様、特別講演は北里大学が誇るお二人、2015年度ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智北里大学特別栄誉教授と、2014年に世界で最もユニークな研究を行った研究者に贈られるイグ・ノーベル賞を受賞された馬渕清資北里大学名誉教授にお願いいたしました。類まれなご経験をお持ちの偉大な先生方から、素晴らしいご講演を拝聴できるものとご期待下さい。さらに、スポンサードシンポジウム:2、ランチョンセミナー:24、モーニングセミナー:5、アフタヌーンセミナー:7、ハンズオンセミナー:3を企画させていただきました。海外招請講演は15名の演者の先生方にお願いしております。全体にわたって脊椎のスペシャリストのみでなく、若手医師や研究者、他職種の方にも、今後に向けて議論を深めていただけるようなテーマでの企画を多数用意いたしております。
本学術集会は千葉市幕張の地で開催させていただきますが、思いもよらぬ国際イベントの余波を受けた影響で、ご参加の先生方の宿泊にご不便が生じ、大変心苦しく思っております。改めて運営者として深くお詫び申し上げます。しかしながら先生方の脊椎脊髄外科にかける哲学や情熱による熱いディスカッションを通じて必ずこの苦難を乗り越え、素晴らしい学術集会となることを確信しております。皆様のお力添えを何卒よろしくお願いいたします。